海上保安レポート 2022

はじめに


TOPICS 海上保安の一年


特集 守り抜く、日本の海。


海上保安庁の任務・体制


■本編

1 治安の確保

2 生命を救う

3 青い海を守る

4 災害に備える

5 海を知る

6 海上交通の安全を守る

7 海をつなぐ


語句説明・索引


図表索引


資料編

1 治安の確保 > CHAPTER II. 国内密漁対策
1 治安の確保
CHAPTER II. 国内密漁対策

我が国周辺海域の豊かな水産資源は決して無尽蔵ではなく、生態系のバランスを保ち水産資源を枯渇させないために漁獲量や操業方法・区域・期間に制限をかけるなどのルールが設定されています。しかしながら、ルールに従わない一部の漁業者による違法な操業や、資金確保を目論む暴力団等による水産資源の乱獲が後を絶ちません。

海上保安庁では、密漁被害を受ける地元漁業者等からの取締り要請にも適切に対応するため、関係機関や地元自治体と連携・協力し、それぞれの地域の特性に応じた取締りを行い、漁業秩序の維持を図っています。

令和3年の現況

令和3年の国内密漁事犯の送致件数は2,098件で、前年に比べ44件増加しており、依然として件数が多い状態が続いています。

密漁は、実行部隊と買受業者が手を組んだ組織的な形態で行われるもののほか、暴力団が取引価格の高い漁獲物を資金源とするために関与する事例も見受けられ、その手口は悪質かつ巧妙です。

また、漁業者ではない海水浴客などが個人消費を目的として密漁する事例も多く見受けられます。

密漁グループを相次いで検挙(なまこ潜水器密漁事件)

令和3年3月、青森海上保安部において、なまこ802.5kg(時価総額約320万円)を不法に採捕した密漁グループ9名及び水産会社代表を逮捕した事件や令和3年7月、留萌海上保安部において、なまこ688.3kg(時価総額約333万円)を不法に採捕した密漁グループ11名を逮捕するとともに空気ボンベを充填するなど密漁の手助けを行っていたダイビングショップ従業員を検挙した事件など、海上保安庁では高級海産物である「あわび」や「なまこ」を密漁した6の潜水器密漁グループを検挙しています。

近年、密漁者が市場を通さず水産会社と直接売買するなど販売ルートが変化した事案も確認されており、これまで以上に潜在化・巧妙化した組織的な密漁も見受けられますが、海上保安庁では粘り強い取締りを実施しています。

<青森>

押収したなまこ

押収したなまこ

密漁に使用された船舶

密漁に使用された船舶

<留萌>

押収したなまこ

押収したなまこ

密漁に使用された簡易潜水器等

密漁に使用された簡易潜水器等

今後の取組

海上保安庁では、監視能力の更なる向上や採証資機材等の充実を図り、悪質・巧妙化する密漁事犯の厳格な監視・取締りを実施するとともに、引き続き、関係機関や漁業関係団体等との緊密な連携を図ることで、地域の特性に応じた未然防止策等の総合的な密漁対策を推進し、漁業秩序の維持に努めていきます。